解決策
NIのVSAではサンプリングレート以下の任意の値をRBWとして設定可能です。例えばPXIe-5842 VST( Up to 2 GHz BW)の場合、理論上、1Hz から同型番のサンプリングレートの2.5 GHz まで任意の値を設定可能です。ただし、以下の点に注意が必要です。
【注意事項】
- 実際のRBW値は設定値と一致しない場合がある
ハードウェアドライバが採用するRBW値は、ユーザーが設定した値と必ずしも一致しません。これは、FFT(高速フーリエ変換)計算に使用される要素数(FFTサイズ)との関係により、RBW値が離散的に決定されるためです。 - RBW値が低いほど測定時間が長くなる
設定RBW値が低くなると、FFTサイズが大きくなり、測定に要する時間が長くなります。 - メモリ使用量の増加とエラーの可能性
FFTサイズが大きくなることでメモリ使用量も増加し、場合によってはメモリオーバーフローエラーが発生する可能性があります。 - 周波数帯域によるRBWステップ幅の違い
使用する周波数帯域によって、設定可能なRBW値の最小ステップ幅が異なります。
検証例:PXIe-5842 VSTを使用したRBW設定
以下の条件でRBWの設定値と実際にドライバが採用するRBW値の関係を検証しました。
- ハードウェア: PXIe-5842 VST( Up to 2 GHz BW)
- 中心周波数: 10 GHz
- 帯域幅: 1.5 GHz
- 使用したプログラム: RFSA Getting Started Spectrum.vi (RFSAドライバ標準装備のサンプルプログラム)
この条件下での検証結果は以下の通りです。「設定RBW値」≠「実際のRBW値」ということが確認できます。また、設定RBW値を10 Hzとした場合、FFTサイズが非常に大きくなり、メモリエラーが発生しました。
【検証結果】
| 設定RBW (Hz) | 実際のRBW (Hz) | FFTサイズ (S) | df (Hz) | 計測時間 (ms) | 使用可能? |
| 10 | 9.999194933 | 372645001 | 4.02528 | 43398 | X |
| 15 | 14.9987924 | 248430001 | 6.03792 | 28938 | 〇 |
| 20 | 19.99838987 | 186322501 | 8.05056 | 20629 | 〇 |
| 30 | 29.9975848 | 124215001 | 12.0758 | 13706 | 〇 |
| 40 | 39.99302346 | 93170001 | 16.0996 | 9015 | 〇 |
| 50 | 49.99597467 | 74529001 | 20.1264 | 8283 | 〇 |
| 100 | 99.99194933 | 37264501 | 40.2528 | 3606 | 〇 |
| … | | | | | |
| 10.000k | 9998.255865 | 372681 | 4024.9 | 46 | 〇 |
| 10.021k | 9998.255865 | 372681 | 4024.9 | 46 | 〇 |
| 10.022k | 10021.92038 | 371801 | 4034.43 | 46 | 〇 |
| … | | | | | |
| 1.000M | 998075.8917 | 3735 | 401786 | 28 | 〇 |
| 1.008M | 998075.8917 | 3735 | 401786 | 28 | 〇 |
| 1.009M | 1008157.466 | 3697 | 405844 | 23 | 〇 |
| … | | | | | |
| 2.5G | 1397306248 | 3 | 5.63E+08 | 26 | 〇 |
また同条件で、設定RBW値 = 1 MHz から1 kHz刻みでスイープすると、「設定RBW値」と「実際のRBW値」との関係は以下の図のようなプロットとなりました。
