解析対象のファイルのプロパティのデータタイプを統一する

更新しました Jun 29, 2021

環境

ソフトウェア

  • SystemLink
  • SystemLink TDM Data Preparation Add-On

SystemLinkで管理する計測データは、同じ拡張子のファイルであっても複数のツールから取得できる可能性があり、それらツールの仕様によっては同じプロパティ名であってもデータタイプが異なる可能性があります。こうしたデータタイプの不一致はSystemLinkやDataFinderでデータファイルを素早く検索する際の弊害となります。そこで複数ファイルで同一プロパティ名に対しデータタイプを統一するための仕組みを設けることでこの問題を回避します。
ここでは、SystemLink TDM Data Preparation Add-onを使用したData Preprocessorによって特定プロパティのデータタイプを統一する方法について確認します。

データ準備プロシージャを用意する
この記事では、以下のようにTestPropertyという名前のプロパティが異なる二つのファイル、testfile1.tdmsとtestfile2.tdmsを例にとります。testfile1.tdmsではTestPropertyは数値、testfile2.tdmsでは文字列となっています。

before.png

まず、DIAdemを開き、SCRIPTの設定からSystemLink TDM >> データ準備プロシージャを選択します。
データ準備プロシージャを構成のウィンドウが表示されたら、新規データ準備プロシージャを選択してデータ準備プロシージャに名前をつけます。ここでは以下の図のような、名前をtestprocessとした構成にしています。

datapreprocessor.png

実際にプロパティを統一するためのスクリプトは、V&Vの項目にて行います。検証と確認にチェックを入れて、編集ボタンをクリックしスクリプトの編集に移ります。

vandv.png

スクリプトには、次のコードを記述します。例えば、TestPropertyのプロパティを数値に統一するには
dim sPropSave
sPropSave = Data.Root.Properties("TestProperty").Value 'TestPropertyという名前のプロパティの値をsPropSaveに保存
call Data.Root.Properties.Remove("TestProperty") 'TestPropertyという名前のプロパティをいったん削除
call Data.Root.Properties.Add("TestProperty", val(sPropSave),DataTypeFloat64) 'TestPropertyプロパティを、sPropSaveの値でfloat64にして再度定義
となります。

vandvscript.png
スクリプトの編集を終えたら、データ準備プロシージャを別名で保存を選択し保存します。この記事では、testpropertyconvert.DPPという名前で保存したとします。なお、変換後のデータファイル形式はデフォルトではTDM形式になっているため、もし変換後もTDMSとしたい場合にはファイルを変換の項目でTDMSを選び、その状態でデータ準備プロシージャを別名で保存によって保存を行います。

saveastdms.png
これでデータ変換プロシージャの設定は終わりです。もし次のSystemLinkでの設定に移る前に、正しくデータ変換プロシージャが動作するかを確認したい場合には、データ準備プロシージャのテストで実際に構成したスクリプトがエラーなく実行されるかを確認することができます。

test.png

テスト時には、解析対象としたい計測ファイルを選択してください。

SystemLink Web Applicationでデータ準備プロシージャを構成する
データ準備プロシージャの構成は終わったので、あとはこれをSystemLink Web Application内で使用できるように構成します。まずは測定データ管理のセクションでデータ準備を選択します。

dataprepare.png

データ準備の画面に移ったら、インスタンスを選択して新規からData Preprocessorインスタンスを選択します。

instance.png

その後、インスタンスの名前を決め、データ領域の名前および生データ(処理前データ)と処理済みデータの保存場所をそれぞれ指定します。

nameandfolderpath.png
次にそのインスタンスに対応させるデータ準備プロシージャ、DPPファイルを選択し、インスタンスの設定を終了します。

procedureselect.png

次に、作成したインスタンスを開始させます。インスタンスの項目に今作成したインスタンス名が表示されているので、その行の歯車マークを選択し、管理を選びます。

manage.png
データプラグインの項目を選択して、そのインスタンスで扱うファイルに対応したデータプラグインが使用されているかを確認します(この記事で扱っているTDMやTDMSはデフォルトでチェックが入っています)。

dataplugin.png
確認を終えたら、右上に停止と書かれた部分の右側にあるアイコンをクリックして開始します。その後、先ほど指定した生データの入っているフォルダに解析対象のデータファイルを入れて、処理済みデータのフォルダに処理されたファイルが保存されていくかを確認します。
もし思った通りの動作をしない場合には、システムステータスの項目でプロセスを選択して強制的に再処理を試してから更新したり、各データのステータスを見てエラーと表示されていないかを確認します。

systemstatus.png


 
 
 

上記の操作により、二つのファイルtestfile1.tdmsとtestfile2.tdmsのTestPropertyプロパティはどちらも数値に統一されます。
result.png