LabVIEW/DIAdemで次数解析を行い、回転体によって発生する振動と騒音を分析する

更新しました Feb 24, 2021

環境

ソフトウェア

  • DIAdem
  • LabVIEW
  • LabVIEW Sound and Vibration Toolkit

エンジン、コンプレッサー、ファン、タービン、ポンプなどの回転体を持つ機器は回転体によって発生する振動・騒音の評価が必要となります。これらの振動・騒音は回転体の回転速度に比例している為、次数解析によって分析・評価されることが多いです。ここではLabVIEW Sound and Vibration Toolkit、DIAdemで使用できる次数解析の関数の挙動について確認します。

次数解析の概要と使用する信号

1. LabVIEW用のサンプルVIをこの記事の最下部のAttachmentsのOrderAnalysisDemo.viよりダウンロードします。
2. LabVIEWで次数解析を行う
次数解析には振動データと回転数の変化を測定したデータの2点が必要となります。例えば下記の図の「Sound/Vbration Signals」では10秒間分の振動強度の変化が計測されています。一方、「Speed Profile」では10秒間の回転速度の変化が記録されています。「Sound/Vbration Signals」と「Speed Profile」に対して次数解析を行った結果が「Order-Time」と「Frequency-Time」の図です。
 
0Overview.png

まず、上記の図において「Speed Profile」にて回転速度の変化を確認します。時間軸0秒付近では回転速度は1000 rpm、10秒付近では6000 rpmとなっています。回転体の振動・騒音の周波数は回転速度に比例しており回転速度と同じ振動数を持つ成分を1次、回転速度の2倍の振動数を持つ成分を2次とします。「Order-Time」を確認すると「Sound/Vbration Signals」には1次、2次、3次、8次の振動成分が含まれている事がわかります。また、「Frequency-Time」を確認すると回転速度の増加と共にそれぞれの振動周波数が増加している事がわかります。例えば、時間軸10秒付近の場合、回転速度は6000 rpmとなるので、次数が1の振動成分の周波数は6000 回転/分 = 100 回転/秒 = 100 Hzとなります。「Sound/Vbration Signals」には1次、2次、3次、8次の振動成分が含まれているので、「Frequency-Time」の10秒付近に現れる振動はそれぞれ100 Hz、200 Hz、300 Hz、800 Hzになっている事が確認できます。

 

 

DIAdemにおける次数解析

1. DIAdemに解析用データを読み込む。
DIAdemで次数解析を行うには振動データと回転速度データを読み込む必要があります。この記事の最下部のAttachmentsのExampleTDMS.tdmsよりサンプルデータがあります。DIAdemの内部データを削除し、ExampleTDMS.tdmsをドラッグ&ドロップすると下記の様にデータがロードされます。
 
1DIAdem.png


2. 次数解析(時間領域)を行う。
次数解析(時間領域)は指定した次数に対応する信号強度を算出できます。ここでは次数1から5までの振動強度を調べます。
 
3DIAdemOrder1.png

上記の計算結果は下記の様になります。次数1から5に該当する振動強度が確認できます。ここでは次数1,2,3の信号のみ検出できている事が確認できます。
 
6OrderAnalysis.png

それぞれの信号強度の形が異なるのは信号作成時にそれぞれの振動数の信号に窓関数を使用している影響です。今回使用したサンプルデータでは次数1の信号には窓無し、次数2の信号にはサイン型の窓、次数3の信号には三角窓をかけています。
 
7OrderEnvelop.png


3. 次数解析(周波数領域)を行う。
次数解析を周波数領域に対して行う場合、下記の図の通り、検索領域を回転速度で指定し、それぞれの回転速度のデータに対して次数解析を行います。多くの場合、パラメータのタブにてパラメータ設定を行う事で、RPMチャンネルの最小値と最大値から適切な範囲と解析の間隔が選択されます。ここでは1050 rpmから6000 rpmまで1000 rpm刻みで次数解析を行います。
 
8OrderAnaFreq.png

次数解析を行った結果、下記の様になります。1050, 2050, 3050, 4050, 5050 rpmの時の振動信号に含まれている1次から10次までの振動信号の強度を確認できます。
 
9OrderFreqRes.png


4. ボーデ表示の次数解析を行う。
「ボーデ表示の次数解析」では回転体が1周した時のタイムスタンプを使用した解析を行うことができます。サンプルデータのPulse Rising Timeには回転体が1周した際のタイムスタンプが保存されており、下記の様に「ボーデ表示の次数解析」において、パルス時間として指定する事で、使用する事ができます。また、ここでは次数1,2,3の信号に対してそれぞれ-0.2から+0.2の信号も含めた強度を得るように設定しています。
 
10bode.png

「ボーデ表示の次数解析」では計算数が多くなると計算時間が掛かる為、下記の「時間間隔」の設定が重要となります。ここでは時間軸方向に100点で信号強度を記述しています。
 
12setting2.png

「ボーデ表示の次数解析」によって得られた次数1,2,3の信号強度と位相をプロットすると下記の様になります。
 
13bodeampphase.png