ゴーストを除去する手順は以下のとおりです。
もしシングルチャンネルのみの集録でも余分な周波数が追加される, もしくは信号にオフセットが入るなど意図しない信号形式となっている場合は、信号に対してクロストークが発生している可能性があります。クロストークなどアナログ入力で発生する問題の対処法については、
Troubleshooting Errors in Analog Measurementsを参照してください。
ゴーストが発生する理由
スキャンされたチャンネルにおいてソースインピーダンスが高いと、整定時間が長くなります。高ソースインピーダンスが接続されたA/D変換器(ADC)の入力にある小さな内部キャパシタンスは、ローパスフィルタを形成します。ソースインピーダンスが増加するにつれて、このフィルタの時定数となり、それ故に整定時間に影響します。下記は、簡略した回路図です。
マクチプレクサが1つのチャンネルから次のチャンネルに切り替えるにつれて、キャパシタンス(C)は前のチャンネルの電圧から接続されたチャンネルの電圧まで充電を始めます。もしRXが大きすぎる場合、Cは正しい電圧に充電(もしくは放電)されず、測定がADCによっておこなわれた際に前回スキャンされた残留が見られます。この不適切な読み取りが、ゴーストと呼ばれています。それは、間違ってクロストークと見なされることもよくあります。
それでは例を見てみましょう。R0は小さく(1 kΩ未満)、ソース0は振幅が2 Vの正弦波でオフセットがないものと仮定します。さらに、R1は非常に大きく(100 kΩ以上)、ソース1は直流の5 Vと仮定します。各信号を個別に測定すると、マルチプレクサはチャンネル間を切り替えませんので以下のようになります。
しかし、両方のチャンネルがスキャンされると、正弦波がチャンネル1に影響を及ぼします。
信号がチャンネルに接続されていない場合でも、RXが本質的に無限大となるため、同様の問題が発生します。ソース1をai1から完全に外して、ai0とai1の両方をスキャンする場合は、次のように見えます。
これは、高インピーダンスチャンネルがコンデンサをグランドに放電することによりゴーストを除去する前に、接地したチャンネルがスキャンされていることを意味し、不適切な値を示します。適切な電圧レベルに到達するためにADCで必要な時間は、現在のコンデンサの充電だけでなく、前回のチャンネルと現在のチャンネル間の差に関連します。このため、チャンネル間の電圧振幅を最小化するために信号を調整することが最善の方法です。
グランド(0 V)が、他のスキャンしたチャンネルより高インピーダンスチャンネルの電圧と比べて遠い場合、目的のレベルに達するために高インピーダンスチャンネルではさらに時間がかかります。高インピーダンスチャンネルが他のスキャンしたチャンネルより0 Vのほうが近い場合、高インピーダンスチャンネルの前に接地したチャンネルを構成してスキャンすることが有益となります。
前のai0が非接続の例で、高インピーダンスチャンネルの前に接地したチャンネルをスキャンしても、正しく計測することはできません。下記は、低インピーダンスチャンネルと高インピーダンスチャンネルの間に接地したチャンネル(ai2)を追加した場合のグラフです。高インピーダンスチャンネルにおける実際の電圧は、5 Vになっていることを留意します。
上記のように、隣接チャンネル上の大きな電圧振幅がこれらのチャンネルの電圧整定時間が長くして、その結果不正確な読み取りとなります。2チャンネル間の電圧振幅を小さくするために、正確な読み取りをおこなおうとしているチャンネルの前にダミーチャンネルを追加することができます。ダミーチャンネルは、2つの連続するチャンネル間の電圧振幅を小さくするために、同じチャンネルで2回電圧を読み取り、その結果より正確な読み取りとなります。
例えば、ai0の電圧が10 Vでai1の電圧が2 Vとします。ai1の前にダミーチャンネル(ai1_dummy)をスキャンすることによって、適切なレベルに達するためのADCに対して十分な時間が与えられ、ai0とai1間に発生するゴーストを除去します。仮想のダミーチャンネルは、Measurement & Automation Explorerで作成して、以下のようにLabVIEWでスキャンするチャンネルのリストに追加します。
すべてのチャンネル(ダミーチャンネルが含まれています)の合計サンプルレートは、デバイスの最大総サンプルレートを超えないように注意が必要です。